りんこうや

少々年季の入った自転車乗りの独り言

俺の自転車スタイル:滑落

こうして、ロードレーサーMTBランドナーの3種類の自転車が俺の相棒になった。

大学4年の冬、やめときゃいいのに、雪が降る前にと、あまり標高の高くない里山にでかけた。相棒は、ランドナーを改造したパスハンターだ。ライバルの友を誘ったのだが、彼はバイトが忙しいということで、単独走になった。夜、俺の彼女と3人でメシを食おう、と約束をして俺は出かけて行った。

天気予報では、その日は晴れのはずだった。だが、いくら低いとはいえ、山の天気は変わりやすい。雪が降ってきたのだ。

俺は、道に迷ってしまった。何度か走ったことのある道なので、油断していた。林道ではないが、かなり踏み後のしっかりしているシングルトラックだ。だが、雪で道を見失った。

そして、やってはいけないことをやってしまった。本道と見間違えた獣道を、沢の方に下ってしまったのだ。そして、滑落した。

動けなくなった。陽のあるうちに帰ってくるつもりだったので、軽装だったことも失敗だった。相棒のパスハンターは、フレームこそクロモリなので無事だったが、明らかにメカ部分は無残な姿になり、ホイールはひしゃげてしまった。岩にヒットしたのだろう。

体のあちこちが痛む。1時間ほど休むと、なんとか身体を揺らせるようにはなったが、滑落した沢を登ることなんてできない。左足首には激痛が走る。腿からは出血。右足は打撲だとは思うが、まともに動かない。

おそらく、林道の終点まで1キロもない場所だと思うが、とてもではないが動けない。

やがて、冬の早い日没時間を迎えた。雪はやんだが、気温が下がってきた。滑落した沢は、枯れ沢だった。あまり岩はなかったが、いかんせん急斜面だ。ああ、だめかな。死ぬのかな。こんなところで死ぬのは恥ずかしいな。